令和6(2024)年度助成金活動報告
身体的な境界線とその神話的な個の概念をテーマにした新作 <大蹴球プロジェクト>(パフォーマンスと映像作品)の制作及び発表
- 活動名称
- 身体的な境界線とその神話的な個の概念をテーマにした新作 <大蹴球プロジェクト>(パフォーマンスと映像作品)の制作及び発表
- 氏名
- 三好彼流
- 実施年度
- 2025年
助成を受けた活動の成果
【概要・目的】
私たちは、脳からの電気号を直接手や足の筋肉に送ることで身体を動かしている。私はその電気、号を敢えて遮断するかのように、電気、号をコミュニケーションに置き換え、不自由にしか動かせない巨大な手や足を動かすような作品を制作・発表してきた。自分の体の中に他者の身体を取り込むことで、どこまでが自らの身体なのかを曖味にさせる。作品を通して、身体そのものの仕組みに懐疑的に向き合い、個の身体的な境界線を問い直してきた。
今回はこれまでの制作を引き継ぎつつ、より一層”演技”を排除した状態で身体と向き合わざるを得ない状況を生み出す。自分は動いているのか動かされているのか。今、何のために歩いているのかという問いに、ボールに閉じ込められ自らでは動くことができない身体と、協力し合わなければ動くことができない巨人を用いて思考する。巨大な手や足、ボールの中に入る人は自らの視覚、聴覚、触覚などの感覚を用いて身体を動かし、機械的ではない五感を用いたコミュニケーションがそこには創出される。また、巨人に入り込むことで、人格が隠され、個人の思考プロセスと身体が切り離される。切り離された個人の思考は、共同体としての思考に置き換わる。また、今回の試みとして重要なのは、このような動きの必然性を補強するために、スポーツの要素が付け加えられたことである。他のスポーツより地域や国を背負いプレーする意味合いが強い蹴球(サッカー)を用いることで、ある種の概念的な概念が個人に着せられ、個人の概念はさらに拡張していく。
個性的や多様性が強く謳われる今日において、個というものを身体的に、概念的に問い直し、人々に手考を促すことを目的とする。
ーパフォーマンス作品概要一
巨人対巨人でサッカーを行うスポーツ型パフォーマンス。
全長約20メートルの巨人型衣装を2体用意し1体につき5人で着用する。
巨人型衣装は体の各パーツに人が1人入れるようになっており、グローブとスパイクに1人ずつ、胴体にも1人入る。ボールは約3メートルで、アスレチックなどに用いられる人が入れる構造のボールを用いる。ルールは基本的にフットサルと同じ。
試合時間:1時間30分~2時間(前半20分、ハーフタイム15分、後半20分) ※プレーイング形式のため長引く可能性あり 参加人数:巨人内計10名、サッカーボール内 1名、審判 1名、実況1名、解説1名 形式:プレーイングタイム形式
映像作品では、実況と解説、熱狂的な観客、好プレーのリプレイなどサッカー試合でよく見かけるシーンに加え、ドローンを用いて上空から撮影した映像、巨人を動かす5人の頭に取り付けたGoPro 目線の映像などを主観と俯瞰が入り混じるような構成にする。
【スケジュール】
2024年10月-12月にパフォーマンスに使用する巨人や小道具の制作を行い、その間に広報を開始する。2025年1月に本番を迎え、2025年2月に映像作品の展示を開催する。実施体制としては、実施に向けた会場とのやりとり等にキュレーターを1名介し、実施までの準備を行う。また、パフォーマンス当日はパフォーマー14名の他に、観客や全体の安全のため3名のスタッフと共に実施する。その他撮影スタッフが3名いる。また、本番を含む全ての過程に、新横浜公園(日産スタジアム)の指定管理団体である、横浜市スポーツ協会の職員である、公園管理局事業部事業課のスタッフも数名伴走する。
【発表方法】
2025年1月にしんよこフットボールパークにてパフォーマンスを発表する予定である。しんよこフットボールパークは、日産スタジアムを構える新横浜公園の敷地内にあり、日産スタジアムに隣接するフルサイズの人工芝コートである。実際のサッカーに使用されているコートを使用した発表にすることで、よりクオリティの高い状況でのパフォーマンス実施を実現させる。パフォーマンスの実施は、最終的な映像作品の撮影も兼ねており、パフォーマンス実施後には映像作品の展示を日産スタジアム(新横浜公園)にて開催する予定。
また今回のパフォーマンスの発表は「和6年度新横浜公園市民活動支援事業」の採択事業として実施する
【今後の展望】
今回実施したパフォーマンス作品を素材とした映像作品とパフォーマンスに用いた小道具や、パフォーマンスの構想ドローイング作品等を中心とした個展を2025年に東京都で開催予定である。また、パフォーマンスは今後も継続して実施を目指していく。具体的には、横浜市以外での場所での実施や、海外(特にアジア)での発表を目指していく。また、近年身体性をテーマにした展覧会やアートフェア、イベントなどに招聘される機会が増えており、そうした機会にも積極的に参加して行きたい。最終的な展望として、新横浜公園(日産スタジアム)の信頼を得ていき、日産スタジアム内で全長20mの巨人5体対5体の試合パフォーマンスを開催し、国内最大級のパフォーマンス実施を目指す。
【その他(応募動機、自己PRなど)】
このプロジェクトは企画当初からかなりの金額が必要であることが分かっており、そのお金を賄うために実現可能性の証明と企画をわかりやすく伝えることが重要だと考え、2022年より実物大巨大マケットの制作発表やその稼動実験を行い、アーカイブの作成と素材や構造の更新を継続的に行ってきた(これまでのマケットの制作発表や稼動実験については別添資料を参照)。企画から2年間の時間をかけたことでしんよこフットボールコートでの開催にこぎつける事ができ、金銭的なサポートを得ることで、コンセプトを完全に体現できる状態でのクオリティを担保した制作と発表が可能となる。
「XXXXXXXXXXXXXXXXLサイズのスウェット」
2024
高さ2960mm幅2400mm奥行き3500mm
布、マットレス、机、ソファ、脚立、32型テレビ、ウレタンシート、風船、レインブーツ、
全ての作品は下記のPDFからご覧いただけます。