令和5(2023)年度助成金活動報告

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あんた…まだ『山本和智』なんか聴いているの……?

活動名称
あんた…まだ『山本和智』なんか聴いているの……?
氏名
鐘ケ江織代
名称
パレイドリアン
実施年度
2024年

助成を受けた活動の成果

【企画内容】

本企画は、人間の可聴域を越えた聴力を持つ演奏者としての「犬」とエレクトロニクスのための新作を中心に作曲家・山本和智の現在を現す作品を上演した。2022 年に開催した「山本和智・ショウルーム『困った男』」では、コロナウィルス感染症によって生じてしまった人々との「距離」を取り戻す意図から、舞台と客席をフラットにし境界を無くし、またいわゆる『コンサート』という「制度」を一つずつ崩すという試みを空間演出や宣伝美術、プログラムや舞台衣装といった細部にまで図った。今回のテーマは「汽水域」とし、内と外との未分化な状態であり、また自然と生活が息づく岡上営農団地ガラスハウスを舞台に感染症対策によって生じた「制御」について参加者とともに思いを巡らせながら電子音楽の可能性を追求した。また、本企画は、2015 年から川崎市麻生区の岡上地区を舞台に開催されている和光大学芸術学科学生によるアートプロジェクト「サトヤマアートサンポ 2023」の関連企画として実施した。この「岡上地区」は神奈川県川崎市に属する地域でありながら、四方を町田市と横浜市に囲まれ、川崎市のいずれの地区とも接していない飛び地。つまり様々な文化の「汽水域」として独自の役割を古くから持っており、且つ、数多の独創的な作品を生み出してきた山本のホームグラウンドでもある。その「岡上」を舞台に、若いアーティストや訪れる人々とのボーダーを越えた創造を目指した。

<上演約60分(休憩なし)>
  • ①前口上(トーク:山本和智) 約20分
  • ②飼い主を伴った犬四重奏とライヴエレクトロニクスのための 『あふれる夜の鳩』(2020/世界初演) 約15分
  • ③トランペット、アコーディオン、飼い主を伴った中型犬のための『預金残高』(2021/トリオ版世界初演) 約10分
  • ④飼い主を伴った犬四重奏とライヴエレクトロニクスのための『あふれる夜の鳩』(再演) 約15分

【成果】

本企画は、独自かつ斬新なコンセプトに基づいて、山本和智の作曲と、著名な演奏家、そして各飼い主の協力のもと、出演を承諾してくれた4匹の犬たちのパフォーマンスを通じてエレクトロニクスを含む新しい表現の可能性を追求した。また、2022年の「山本和智・ショウルーム『困った男』」でのフラットな舞台と境界の無い演出は、参加者との一体感を生み出すことに成功したが、音楽体験を一層追求し、「制御」をテーマにした今回の企画では、岡上営農団地ガラスハウスを用いた舞台設定が、制約をチャンスに変える独創的なアプローチとなった。 さらに、本企画は助成を受け、活動の成果としてアーカイブ動画を作成することができた。また、YouTubeで公開することで、多くの視聴者から好評を得ることができた。アーカイブ動画は、地域の枠を越えて多くの人にアートと音楽の新しい形を提供し、その結果、視聴者からの反響が広範に広がっています。特に、独創的な企画や犬たちのパフォーマンスがオンラインプラットフォーム上で注目を集めることができた。

【動画】


【今後の展望】

今後もこの成功を踏まえて、不便な場所での開催においても積極的に挑戦し、新たな観客層を引き寄せることを目指す。アーカイブ動画の公開を通じて得た反響を更に活かし、オンラインでの発信を強化していく予定である。本企画が約100名の観客を魅了できたことは、独創的な企画が人々を引き寄せ、共感を生み出す可能性があることを示唆していると言えるだろう。今後は、地域住民や他分野の人々との協力を深め、さらなる観客数の増加や地域社会への影響を強めていくことを目指す。