令和4(2022)年度助成金活動報告
OPERATION AND BUGS
- 活動名称
- OPERATION AND BUGS
- 氏名
- 瀧口翔
- 名称
- --
- 実施年度
- 2023年
助成を受けた活動の成果
2023年3月17日~3月26日 The side
2023年3月6日-13日 搬入・プレプログラミング・プレ仕込み
2023年3月17日~3月26日 The side
3/15 プログラミング・風鈴位置調整
3/16 ランニングテスト兼プレオープン 来場者3名
3/17 来場者12名 18 15名 19 12名 20 11名 21 9名 22 10名 23 14名 24 10名 25 19名 26
24名 計141名 (平均滞在時間 約45分)
3/27 バラし 搬出
天井の梁から3m×3.5mの単管で作ったグリッドをワイヤーで吊るし、そこに風鈴100個を6個ま
たは7個からなる16のグループに分け、プログラミングされた16個の扇風機で操作し鳴らすシ
ステムを構築した。扇風機は完全に風鈴が鳴る強さと、紙が揺れるだけで音が鳴らない状態を作
り出し自然環境にある風鈴の鳴り方に寄せて作る部分と、一斉に風を起こし全部が鳴るシーン、
順番に1グループずつ時計回りに風鈴が鳴っていくシーンも制作し、扇風機が意図的に操作されて
いることが観客にわかるようなプログラミングを30分のループで毎日13時から20時まで作動さ
せた。また会場の二箇所の入り口と窓は常時開放し自然の風が入るようにし、プリグラミングし
た扇風機による風鈴の鳴り方を壊されるように構成している。
会場内は基本的には天窓と窓からの自然光と入り口からの漏れて入る光のみで構成。入口付近に
できるだけ自由に過ごしてもらえる様に会場の楽しみ方の例を描いた紙と、コンセプト等を書い
た冊子を設置。会場奥には座布団を9枚積んで置き、来場者が自由に使えるようにした。入口の
広さを自由に変えれる会場だった為、入りやすさと、中に入ってから別空間を楽しめることを両
立できる間口を仕込みの日に試しながら決定した。
風鈴の高さは身長170cmの人が背伸びしたらギリギリ風鈴の短冊が触れる高さに設定し、来場者
も風鈴を鳴らそうと思えば鳴らせる状態にした。窓を開放する時に使用する箱馬もそのまま会場
に残しておき、一見すると展示物の一部にも見えるが、来場者がどこにでも持っていける状態に
し、身長の低い人が乗って風鈴の短冊を触れるようにしている。実際には風鈴を鳴らす為に箱馬
を動かした人はいなかったが、好きな場所に持って行って椅子がわりにして楽しむ方が数人現れ
たことは嬉しい。また出入口付近に置いてある冊子や紙、廊下に設置してあるフライヤーなどが
部屋から見えるようにしておき、使って扇げば風鈴は鳴らせるのだということも暗に示したつも
りである。実際にそうする人もいた。また、子どもはジャンプして触ろうと試みていたとが届か
ず、手の長さを稼ぐ為に紙を使用した。
窓を開けて風が入ってくるということは、外の音も入ってくるとい
うことでもある。なんの音がいつ、どんな音量で入ってくるかは
制御できないが、入ってくる状態にしてあるということが重要なポ
イントである。外からの音によって印象が変わったり、外の状況
と風鈴が関係しているように見えたりする。決して同じ瞬間はな
いのだという当たり前のことを改めて感じることができる。自然
光のみの明かりを使用しているのも同じような理由からである。
そして、会場内で、ともに過ごす人によっても雰囲気は全然別のものになる。神聖な間になり、ピ
クニックのようなことになり、寝転んで夜空を眺め流れ星を待っているようになり、お茶会にも
出入口と天窓と窓もう一つの出入口
なり、昼寝をする場所になり、瞑想の場になり、自分の時間を取り
戻す場所になったりする。そこにいる人全員で自然と共通認識を形
成し場を作り出すのだということが確認できた。私は毎日、ずっと
そこにいて来場者とともに空気を作り出す存在としてどう振る舞え
るかを実験し続けた。舞台作品でいつも感じている、「観客も含め
た全員で作品というものがその場所に立ち上がるのだ」ということ
のひとつの例として呈示できた。そしてこれは当然実際のコミニ
ティでも同じである。
3/19には武本拓也さんを講師に招いてワークショップを開催。その場をどこまで「見れる」か「感じれる」か「聞こえる」かを通し、さらに「どう」その場にいるかを3名公募の参加者とギャラリーオーナーと私で体験。(料金は投げ銭制で武本氏に受け取っていただいた。)一般の来場者もその様子を観ることができ、最後はそれぞれのソロパフォーマンスのようなものになった。中身はそれぞれが全員全然違うものになったが、確かにそこにいるということが具現化された。
ありがたいことに、常設展としてずっと存在してほしいという感想も何人もからいただくことが
できた。会期中に何回も足を運んでくださる方も多く、中には1日のうちにいろんな時間帯に
やってきて楽しんでくださる方もいらっしゃった。
天井から四角の枠が吊るされ、そこに白い風鈴がたくさん吊るされていることから神楽を連想す
る来場者も何名かいらっしゃった。神聖な雰囲気は意識して制作していたが神楽のことを意識して
いたわけではなかったので今後の研究に追加していきたい。神楽までは行かずとも、そこに何か
パフォーマンスや儀式が始まりそうな雰囲気、終わったあとの気配のようなものを感じていただ
ける来場者が多かったことは嬉しい。
ずっと会場にいた中で改めて感じたのは、「作者」はその場所を簡単にコントロールできてしま
うということである。これは舞台作品においては演出家や振付家にも言えることで、きっと一般
社会の中でもそのような立場に望む望まず関係なくたっている人たちみんなに言えることだと思
う。親子という関係でもいいかもしれない。何かが起こるのかを待つということ、ともに築く上
げていくこと、あらゆる要因を拒否せず無視する訳でもなくいかに共存するのかということの難
しさと尊さを実感できた。
会期中、演出家の南野詩恵さん、ダンサーの辻本佳さん、音楽家の谷口かんなさん、写真家の松
本成弘さんに自分の体をコントロールすること、出演者にどこまで自分の思い通りに動いてもら
うかもらわないか、即興、対自然と作品を作ることについてそれぞれインタビューをし映像収録
しoperation and bugsの見地を深めようと試みた。映像のリンクは会期中のみ見れる期間限定
で、会場で配布した冊子にqrコードを載せ、来場者のみがアクセスできる限定動画とし公開し
た。建築、都市計画関係の来場者とも知り合えたので、計画することと、実際の使用、運営の違
い等についてもいずれ話を伺いたい。
小さいながら、京都新聞に紹介していただいた。